概要

創薬機構は生命現象の解明や難病克服など人類の健康増進への貢献を目標に、創薬シーズ探索(スクリーニング)のための28万種の低分子化合物を所蔵する我が国随一の化合物ライブラリーとスクリーニング施設を公的な大型創薬研究基盤として管理・運用しており、創薬アイデアなどを着想した熱意ある研究者に産学官の所属を問わず、化合物サンプルの提供とスクリーニングの総合的支援を行っています。

本機構はスクリーニング研究を担当する他の6大学や9大学からなる合成担当機関と密接に連携し、運営を統括するとともに、構造生物学研究や生命情報学研究を担当する機関とも協調し、オールジャパン体制で世界に先駆けたアカデミア創薬研究を進めるべく、創薬研究の支援プラットフォームを形成し、創薬シーズの発見や生命現象あるいは病態の解明などに貢献しています。

生物の機能を制御する化合物を探索する際、重要な研究基盤は化合物ライブラリーです。化合物ライブラリーの利用により、数万種以上の化合物の中から生物機能制御活性を有する“ヒット化合物”を迅速に見出すことができるようになります。その後、“ヒット化合物”に特異性と高い活性、安全性を付与する最適化研究が行われることになりますが、医学、薬学、生物学などとともに最先端の有機化学を駆使することによってはじめて可能であり、その成果として“リード化合物”を創出することになります。

この過程において重要な点は、質の高い化合物ライブラリーの存在です。しかしながら、永く日本には大規模な公的化合物ライブラリーは存在しませんでした。

このような現状下、世界に先駆けて生命科学研究の発展に寄与すると共に、大学の基礎研究成果を産業に活かすことを目的に、本学に「生物機能を制御するための化合物ライブラリー機構」(生物機能制御化合物ライブラリー機構)を2006年に設立し、大規模な公的化合物ライブラリーの創設を目指しました。 化合物ライブラリーの構築に同時並行してその運用も行い、化合物サンプルを必要とする全国の研究者に提供してきました。

2011年には、創設した化合物ライブラリーを基盤とする研究活動を学内外の広い分野の研究グループと協働し、さらに発展させることを新たな目標に設定し、組織名を「創薬オープンイノベーションセンター」と改称し、“ヒット化合物”探索(スクリーニング)から“リード化合物”創製への総合的支援活動を行ってきました。

さらに、2015年に組織名を「創薬機構」に改称し、製薬企業からの寄託化合物サンプルなどで化合物ライブラリーをさらに充実させ、政府が進める「健康・医療戦略」に貢献すべく、活動を発展させています。

概念図に示すように、生物機能を効率的に制御する化合物を創出するためには、化学、医学、薬学、物理学、生物学など、全く異なる専門分野の研究者が相互に協力することが求められるため、本機構は薬学系研究科等の従来の部局には属さず、総長室総括委員会管轄の全学組織として設置されています。